まずは主治医に相談し、主治医が可能と判断したときは食事をします。そして、
一口でも多く、少しでも美味しく感じられるメニューを、かかりつけの病院の管理栄養士に相談してください。
そのうえで食欲不振の原因を主治医と交えて解明していくことが必要です。
食欲不振の原因は、がんそのものの影響、抗がん剤や放射線治療の副作用、(吐き気や下痢、味覚障害など)、心理的ストレスなど、いくつも考えられます。医薬品で不快な症状が解消出来る場合は、医師に投薬をしてもらいましょう。
治療中は正常な細胞へのダメージが強く、治療を乗り越える原動力として通常よりもエネルギー量が必要となます。体力を維持するために食事は重要で、
少しでも食事をくちにしている人のほうが、経管栄養などで栄養を補給している人よりも元気でいる傾向にあります。
こういった情報を本人や家族や友人が知り、食事の必要性を感じておきましょう。
逆に、「食事が食べられないと回復が出来ない」「命に関わるのではないか」と心配されることもあるでしょう。人の体には2~3日食事がとれなくても何とか乗り越えられる仕組みがあります。なので、
「気分が良い時に」「食べられる量で」「食べられるものを」という気持ちで、食事に関してリラックスした気持ちでいることが大事です。
食事に対しては、「食べられなかった」「残してしまった」と、罪悪感をもたせない工夫が重要となります。小皿や小鉢に少量を盛りつけて、「完食できた」という気持ちになってもらいましょう。また、「残しても次に調子が良い時にでも食べればいいよ」と声をかけて、冷蔵庫で保存しておき、次にだすようにすると、患者さんの心理的負担が減ってきます。
重要なのは、「食べたいときにタイミング良く食事を出す」ということですが、これが家族や看病にあたる方にとって課題になります。
一口大のおにぎりや、本人の好きなおかずをラップでくるんで小分けにしたものを冷凍しておき、さっと出せるようにしておくと負担が軽くなります。本人に、「食べたいメニュー」「これなら食べることが出来るメニュー」を聞いておき、作り置きして冷凍や冷蔵保存しておくのが良いでしょう。
食欲がないときには、1回の食事は貴重な栄養補給のチャンスです。
食べやすいおにぎりなどの主食のほか、チーズやヨーグルト、牛乳、豆腐、卵などのタンパク質源を添えてすすめてみましょう。
また、タンパク質源が免疫細胞の材料になり、免疫力を高めることを一緒に伝えると、食べる意欲がわくこともあるので、知識として持ってもらうのも良いでしょう。
食器やランチマットなどをカラフルなものにすることで、食欲がアップすることがあります。
おすすめは、赤やオレンジなどの暖色系の色で揃えることです。逆に青や黒などは、おしゃれな印象であっても食欲が減退しやすいので、避けておきましょう。