がんには確立された食事療法がありません。「食べられる時に」「食べられるものを」ということが優先されます。すると、
どうしても野菜不足に陥りやすく、それを補おうという意味で青汁を利用する
方がいらっしゃいます。
市場に出回っている青汁は、おおまかに分けると
1.青菜類をミキサーで撹拌をして冷凍保存したもの、
2.青菜類を粉末顆粒にしたもの
に、2分されます。
結論から言うとお薦めは1です。これは、実際に食べたことに近く、野菜の健康効果が得られやすいものだからです。
2は、野菜の健康効果はあまり期待できません。なぜなら、野菜本来の成分の大半を捨ててしまっているからです。
原材料の野菜量が350g(厚生労働省推奨1日の野菜摂取量)であっても、
粉末加工する際に、野菜本来の持つ食物繊維やビタミン・ミネラル類の相当な量を失い、ほとんど残っていません。
また、粉末の青汁入りドリンク1包の1回の使用量を野菜に換算すると、キャベツ2枚程度にしかならない製品が目立ちます。野菜を濃縮しているようなイメージがありますが、実際の野菜摂取量は相当少ないのです。このため、もし青汁で野菜不足を補うなら、1の冷凍タイプが適しているのです。
しかし、1の青汁はドロドロの食感でのど越しが悪いという欠点があります。これは水、場合によっては氷で薄めると飲みやすくなります。
また、のど越しの悪さの原因は、食物繊維が多いためなので、胃や大腸の手術をした人には向いていません。
実際に青汁を利用しようとすると、「青臭いニオイがイヤ」「味がまずい」ということがあるのですが、そのような場合、通常の大人が飲める1回量に対してリンゴ1/2個程度を追加してミキサーで撹拌するか、すり下ろしを加えて甘みをプラスするとぐっと飲みやすくなります。そして、「飲める量だけを飲む」のが良いでしょう。ただし、
青汁は「汁」とネーミングされていますが、水分補給にはならないことは覚えておいて注意しましょう。
青汁は、「健康に良い」というイメージが定着しているので、本人が希望したり、家族の方が勧める場合があります。手軽に野菜不足を底上げするには良いですが、青菜類に偏ってしまう傾向もあります。食事で色々な種類の野菜を食べることを優先するほうが栄養のバランスが良いため、無理をして飲むほどのものではありません。
野菜の健康効果を得るためには、わざわざ青汁などのように加工せず、実際の野菜を食べるのが一番です。