末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

一人分だけ作る時の調理工夫

闘病中は、様々な原因で思うように食べることが出来にくくなっています。そのため、煮込んだり、刻んだりなどの調理の工夫が必要になってきますが、これが負担になることもあります。

あらゆる状態でも、「おにぎり」は共通して食べやすいメニューです。そこで、おにぎりのようですが、しっかりとは握らずに、様々な料理を具にはさんだ、「おにぎらず」という料理を紹介します。

まず、大きな焼き海苔1枚(場合によっては塩をふって)の中央に、分量の半分程度のご飯をのせます。次に具を載せ、残りのご飯を上からのせて具をおおいます。次に海苔の角を中央に向けて折り、海苔で四角くご飯を包むようにします。これを裏返してなじませ、余分なのりは調理用はさみで切り落とします。

食べるときに口が開けられる状態に合わせて、半分、4等分などにカットして出来上がりです。斜め方向にきるとサンドイッチ風になります。握らないご飯は、柔らかい食感を保つことができ、中に入れる具で、料理の柔らかさを調節することができるのです。

中に入れる具は、おにぎりの具にこだわらずに、お総菜などを入れても美味しくたべることができます。

例えば卵焼きとゆで温野菜を入れるときは、マヨネーズも一緒に温野菜の上にかけて包み込みます。これで味付けが完了なので、小食でもごはんとおかず、野菜を一緒に食べることができるのです。温野菜を柔らかすれば、「柔らかくしないと食べづらい」という時にも対応できます。

洋風にハムとチーズをはさんだりするのもおすすめですが、固めの食感のものでも食べることができるときは、きんぴらごぼうのような和風のおかずを包めば、ごはんと一緒になることでしょうゆ味がマイルドになり、口やのどへの刺激が少なくなって食べやすくなります。また、きんぴらを一緒に食べることで、ご飯も噛む回数が増えるメリットもあるのです。

ご飯をのりで包むだけで、「これなら食べることができそう」というおかずが食べやすくなります。また、汁気があってもある程度はご飯にしみこむので、逆に味わいがしっかり感じられて美味しさが増すこともあります。

ご飯と一緒におかずを食べることが簡単にでき、また、切り分けることで量の調整がしやすい「おにぎらず」、活用してみてください。