がんの治療食では、
基本的に「食べてはいけない」「避けるべき食品」というものはありません。
原則として、本人の希望を優先しながら食事をすすめます。食事の内容によって、がんが進行したり、治療の経過に影響を及ぼすことは、ほとんどありません。
だだし、その時々の体調、健康状態にあわせて様々な食品に対して
「控える」「避ける」「積極的に」「できるだけ多く」
というようなことがありますが、それは主治医や担当する管理栄養士などから伝えられます。例えば、他の病気を併発していたり、血液検査で判断するような副作用(白血球の減少など)を同時に抱えている場合、病状によって医師から
「塩分やタンパク質を控えた食事にする」「食中毒や感染症を予防するために加熱処理したものを食べる」「食事の形状や時間を変える」
という指示がでる場合があります。
塩分を控える場合は、どうしても薄味になってしまうために、レモン果汁やポン酢で酸味をきかせた料理が好まれる傾向があります。大葉やミョウガ、しょうがといった、香り付けやにおい消しになるような薬味的食品の利用もおすすめです。しかし個人差もあり、利用する量が多すぎたり、逆にわずかな量でもにおいが気になってしまい、逆効果になることもあるので、料理を数品用意して、その中の1品として試して、患者さんの感想を聞いてみるようにしましょう。
加熱処理をした料理というのは、文字通り火を通した料理です。
刺身や冷や奴、生野菜などはやめて、さばのみそ煮やぶりの照り焼き、すき焼き、温野菜、野菜スープや味噌汁、おひたしなどにする必要があります。
食事の形状を変える、というのは、小さめにカットすることのほか、とろみをつける、ゼリー状に固めるというようなことをさします。とろみは片栗粉でつけるのが一般的ですが、ゼリー状に固めるのは調理をする場合は片栗粉では難しいメニューもあります。介護用のゼラチン寒天を用いることで、常温でもゼリー状に固めることが可能なので利用しましょう。
ただし、ゼリー状に固めたメニューの場合、
しっかり「ごっくん」と飲み込まないと間違って肺のほうにはいって誤飲を招くことがあります。
このため、本人にも「つるん、とのどごしを楽しむのではなくて、飲み込みをしっかりすること」を厳重に伝えておきましょう。また、家族が一緒に食事が出来る場合は、慣れるまで見守りをしておくと良いでしょう。