がんの食事療法の基本に、
「好きな時に、好きなものを、食べられる量で」
というものがあります。
一般の健康な人は1日3食が目安ですが、抗がん剤や放射線治療によって食欲が落ちているときは、
「好きな時」という“タイミング”が重要なポイントになります。このため、1日の食事の回数に制限はありません。
ですが、ご家族と一緒の場合は、「食べられなくても」可能な限り同席しておくのがおすすめです。通常の食卓テーブル席に座るのか、ベッドサイドなどに家族が食事を持ち込むかは、本人の体調や家庭の事情などで判断してください。
できれば1日3食にプラスアルファというスタイルにするのがおすすめです。このスタイルは、
体内のリズムが整いやすく、日中の元気の良さや質の良い睡眠をもたらしてくれます。
また、同席時にお茶などを出しておくと、水分補給にもなって効果的です。しかも、同席していることによって食欲がわくこともあります。
当日の食事メニューが、本人にとって食べづらいメニューであっても構いませんが、日頃のメニューで患者さんにとって食べやすいものを小分けにして冷凍保存しておくと、同席して急に食べられるようになった時にも対応しやすくなります。また、
一旦患者さん一人前を用意しておき、食べ残した分をその後の「食べられる時」のために取り置いておくのも1つの方法です。
食事に同席していても全く食べられない場合もあります。そんな時は、「また食べられる時にでも」と声をかければ、
家族の負担も軽くなり、本人も家族への「食べられなくて申し訳ない」という気持ちが和らぎます。
(食中毒を起こさないように、食べ残しは冷蔵庫で保管します)
食欲が落ちていても、おにぎりなら比較的食べやすいという傾向がありますが、そのように本人が感じている場合は、炊飯器の保温機能を用いてご飯(めし)を欠かさないようにしておくのが良いでしょう。(冷凍ごはんで作ったおにぎりは硬くなりやすいので不向きです。おにぎりにしてから冷凍しましょう)。
食事を共にし、会話をすることで、本人もご家族も気持ちが晴れることも多くあります。
会話の内容を提供する道具として、テレビやラジオをつけながらの食事もおすすめです。