医食同源というように、食べることは人生の楽しみのほかに、治療の一環という側面をもっています。
できる限り、口から食品をとりこむことで、身体の内側から自然と病気に対抗する力が沸いてくるのです。
つらい治療をしているときこそ、美味しい食事を食べて気持ちを明るくさせていきましょう。
実のところ、がんの食事療法には、糖尿病や高血圧のように確立した治療食や治療方針はありません。あくまでも、
治療中の方々おひとりおひとりの症状、体調に沿った内容を検討していくのが「がんの食事療法」といえ、医療スタッフによるオーダーメイドに近い感覚です。
書籍やインターネットなどで、「**が良くない」「〇〇が効く」といった表現がみられますが、治療食として信頼できる科学的根拠をもつもの、つまり誰にでも良い効果をもたらすと証明された治療食はありません。がんの食事療法に関しては、様々な食事方法や健康食品、サプリメントなどの情報があふれています。ですので、食事に関して激しく悩み、情報を集め、さらには独自の食事法を実践している人も大勢います。
そのなかで、体調が良くなったと感じられる食事内容やメニューがあれば、取り入れるのも1つの方法ですが、Aさんが快調になった一方で、Bさんにとっては体調を崩す内容の場合もあります。噂を鵜呑みにせず、本人の希望に応じて1~2度試して体調のチェックを忘れないことも重要です。
また、
健康食品やサプリメントでガンが治ることはありません。回復を願って、わらにもすがる気持ちにつけこむ悪質商法には気をつけましょう。
主治医や看護師、管理栄養士などは、本人の症状に沿って、食事が美味しく食べられるように治療や工夫をしています。しかし、
がんの治療に食欲不振はつきものです。食べられるときに、食べられるものを、食べられる量を食べれば良いのです。
食べたい時にさっと対応でき、なおかつ食べやすいものは、ヨーグルトやゼリー、プリン、果物なので、好みに合わせて常備しておくと良いでしょう。
また、作り手の工夫として、「少ない量」で「患者さんが食べきれる量」を、「小皿」に盛りつけて、本人に、「食べることが出来た」という達成感を持ってもらうことも、本人の食べる意欲を引き出すコツです。