結論から言うと、がんに対抗する成分を連想させる健康食品やサプリメントに、
実際にがんに効果があるという科学的・医学的根拠があるものは存在しません。
特定の食品から抽出した成分が、がんに対抗するかどうかは研究途上で、
「効果があるかもしれないけれど、全ての人に良い効果があるかどうかは解らない」というのが現状なのです。
実験動物(マウスやラットなど)での研究で、がんに対して何らかの良い成果があったという研究報告がある成分があっても、実験動物と人間では、そもそも生き物として体を構成する遺伝子から全てが異なっています。なので、実験動物での成果をすぐに人には応用できないのです。
また、
健康食品やサプリメントは、治療中に使用している医薬品と併用することで、医薬品本来の効果を狂わせてしまう可能性が高い傾向があります。必ず主治医に「利用目的、種類、量」の全てを伝えることが重要です。
医薬品との関係の安全性を確認することは、自分自身の健康と正しい治療を受けるためには必須となります。
「これを使用して病気を克服した」といった体験談を見聞きする、親族や友人に勧められて信頼して利用している事もあるでしょう。医師になかなか言いづらいため、隠れて使用しているという場合もあります。しかし、正直に話すことで主治医との信頼関係を深めることも出来ます。
健康食品やサプリメントの使用が、治療の足を引っ張ってしまえば本末転倒なのです。
がんに対して人気が高いのが「アガリクス」です。これを例にとって解説していきましょう。
独立行政法人国立・栄養研究所ホームページ上にある「健康食品」の安全性・有効性情報を調べると、「ヒトでの有効性と安全性については信頼できるデータが見当たらない」としています。同時に厚生労働省ホームページ上の、アガリクスを含む製品に関するQ&Aでも「厚生労働省では、ヒトに対する有効性について確認しておりません。」としています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/060213-1.html
これは、アガリクスのサプリメントといった健康食品は、あくまで加工食品扱いであるために、医薬品のような効果効能を表示していないので、国が事前に審査をする仕組みがないため、有効性を確認する作業をしていないことが理由なのです。
このように、なにがしか「がん」に効果があるようなイメージをもたせてある成分のサプリメント各種について、国は事前にチェックをする体制をとっていません。使用に関しては自己責任になるため、法外な金額で販売されることもあり、悪徳商法にひっかからないように自衛する必要もあります。
このほか、
サプリメントの宣伝フレーズに、「特許を取得している」と表記してある場合があります。しかしこれは「製造技術等」に対して与えられているもので、健康効果を保証しているものではありません。
特許がある=国がお墨付きを与えた、特別に健康効果が高いサプリメントである、というのは誤解です。