末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

栄養のバランスをとるには

がんの食事療法には、確立された内容がありません。また、食欲低下は、大きく悪影響を及ぼして体重と体力の減少を招いてしまいます。そこで、少ない食欲のなかで「好きなものを優先させる」ということが大切になります。しかし、好きなものばかり食べていると栄養が偏ってしまうこともしばしばです。

ここで厳重にやってはいけないのは、独自判断で栄養素などを補給するサプリメントや健康食品を使用することです。これらには不要な成分が過剰に含まれていたりするため、治療の足を引っ張ることがあるので、厳禁です。

がんの治療中に食欲不振に陥ると、どうしても、のど越しの良いゼリーやアイスクリーム類、果物などを口にする回数が増えて、いわゆる食事らしい「おかず」の量が減ってしまいがちです。その結果、タンパク質不足に陥りやすいのです。

タンパク質は筋肉や内臓の材料になるだけでなく、免疫細胞を作るにも欠かせない成分で、免疫機能を高めます。不足するとうつ傾向になりやすく、体力やスタミナが低下してしまいます。また、タンパク質は、市販のスポーツ選手向けのプロテイン等を利用するのではなく、食品として摂取することが重要となります。

食品としてタンパク質をとることで、同時に含まれるビタミンやミネラル類も摂取できるのです。コンパクトにタンパク質を取ることが出来る食品として、卵、牛乳、チーズなどがおすすめです。肉や魚、納豆を食べる事が出来るのなら(ニオイで敬遠されることがあります)食べましょう。市販品の温泉卵や茶碗蒸し、卵豆腐を使うと便利です。

このほか、生野菜や酢の物などは、さっぱりとしているため食べやすくなる傾向があります。サラダにハムやゆで卵、ツナを入れる、酢の物にたこやシラスを入れてみましょう。野菜は緑黄色野菜がおすすめですが、摂取量が不足しないようにすることが優先です。煮る、ゆでる、さっと炒めるなど加熱してカサを減らして食べてみましょう。