末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

血管を丈夫にして守る食事

若々しい血管は新しいゴムホースのようで、なかもしっかりと空洞でしなやかです。一方

弱っている血管は、古くてくたびれたゴムホースのように硬くてもろくなっており、場合によっては、ところどころ詰まっていることもあります。

血管は年齢を重ねていても運動をすることで弾力を取り戻し、詰まりを取り除くことが出来るのですが、闘病中は思うように運動をすることが出来ません。

血管の材料はタンパク質なので、食欲がなくても、主菜になる肉や魚、卵などタンパク質源を欠かさず食べることが非常に重要です。食欲不振のときは主菜の食品が後回しになりがちですが、

血管を丈夫にするためには最低限、1日卵1個あるいは魚1切れ程度は食べるようにしましょう。

このとき注意したいのが豆腐です。豆腐はタンパク質源になりますが、水分が多いので、実際に食べた量の割に摂取できるタンパク質量が少ないのです。なので、つるんとしたのど越しが良いものしか食べられない時は、卵豆腐や茶碗蒸しを選ぶようにします。

闘病中はどうしてもあっさりとした食事を選びがちですが、

脂肪は、細胞膜・血液・ホルモンなどの材料になり、ビタミンA・D・Eなどの脂溶性ビタミンの吸収を助けるため、血管や皮膚のしなやかさを保つのに欠かせません。

食べ過ぎは胃もたれや消化不良などの弊害をもたらしますが、一定の量は健康維持に必要です。

また、

血管の老化は、がんと共に生活習慣病の原因になるようなリスクを重ね持っていることで、加速しやすくなっています。そこで食事で自衛していきましょう。

まず、血圧が高いと血管が痛みやすくなりますので、血圧を正常化させるために減塩が必要になります。

体調によっては塩味がのどを痛めることがあるので、減塩調味料を使うのではなく、出来るだけ従来の調味料で薄味にしましょう。

味は「慣れ」の習慣が大きく左右します。薄味には4~7日程度で慣れはじめてきます。そもそも高級和食や料亭の味は、だしをきかせて素材の味を引き出しているので薄味です。「だしをきかせて高級に作っている」と考えるようにしてはどうでしょうか。

わさびやしょうが、にんにく、みょうが、こしょうなどの薬味を使う、ポン酢などの酸味で味付けをする、といった工夫で、うす味でも美味しく食べられることができます。外食や持ち帰り総菜を食べた時に、「ちょっと味が濃いな」と感じるところまでうす味に慣れれば大成功です。

塩分(ナトリウム)を排出させる働きを持つカリウムは、生野菜に多く含まれますが、ゆでるとゆで汁に溶けてしまい約半分になります。体調が良ければ、サラダなど生野菜を食べることがおすすめです。

葉物の野菜は水洗後にラップで包んでレンジで加熱すると火が通りますので、お湯でゆでずに済みます。そのまま水を張ったボールに投入して冷ますとニオイも気になりません。トマトジュース、バナナ、メロンもカリウムが豊富です。

中性脂肪やLDLコレステロールが高めであると、血管に詰まりが出てきます。肉を食べる割合を減らし、魚、特に青魚(あじ、いわし、さんま、ぶりなど)を多めにしましょう。果物やお菓子の食べ過ぎは中性脂肪を上げてしまうので、量の調節が大切です。果物の1日の目安量は両手の親指とひとさし指で輪を作ったぐらいの量です。例えばりんご1/2個やぶどう1/2房、桃1個などです。

食物繊維には、余分なコレステロールを排出させる効果があるので、根菜類・きのこ・海藻類はおすすめです。

しかし食物繊維は硬く、消化が悪い成分です。体調によっては利用を控えましょう。加熱すると柔らかくなる野菜を選び、体調に合わせてサラダやごま和えなどにして食べるのがおすすめです。

血糖が高めだと、血管がさびついたり、しなやかさを失なってしまいます。食物繊維には血糖の急激な上昇を抑える働きもあるので、体調が許すなら食物繊維が豊富な食材を選びましょう。

「食べたいもの」を優先すると、血糖値を上げやすいおにぎりや麺類などに偏ることが多くなってしまいますが、加熱した野菜も一緒に食べることを心がけましょう。