末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

受け入れる力

受け容れる力という企画をしました。

乳がんという病気に関して、女性たちをたいへんすごく苦しめている、と感じます。

今日のテーマは受け容れる力という、自分の人生を受け容れる力を育もうという企画にさせていただきました。

私は3650グラムで生まれました。普通に元気な男の子で、元気に泣きながら生まれてきました。

その後、実は悲劇がありました。それをその時は知らないで生まれてきました。

私が生まれて、付いた診断名というのが、先天性の内斜視。

視力が弱くて、目が少し内側に寄ってしまう、という病気なんです。

その後、約12年間、病院通いをしていました。

そういう中でたくさんの暖かい先生や看護師さん、スタッフの方々と出会ってきました。

そういう中で患者さんのために皆さんが働いているということを幼い頃からとても実感して、感じ取っているうちに、これはすばらしい仕事なのではないかということで自分の心の中で何かが芽生えて、その気持ちを持ちつつ成長していきました。

自分が成長していく中で、矯正のために眼鏡が必要でした。

その眼鏡もかなり厚底の、目がとても大きく映って見えるようなそういう眼鏡なんです。

そうすると、周りから変わった目で見られました。

時には眼帯を当てたり等しながら矯正をしてきたんですが、そうすると、いじめ等を受けたりもしました。

そうするうちに、自分の中にこもって、「勉強でもするか」「見返してやる」というように、勉強に走ったりしました。

そんな風にしていると、いじめを受けても、まあ、なんとも思わない。

「眼鏡ざる」とかいろいろ言われましたが、「別にいいけど」と思っていました。

ただ、それで自分はいいけれども、同じように、障害を持った女の子がいたり、同じように眼鏡をかけている女の子がいたりして、女の子の方にまでいじめの手が及んでしまうというのは許せなかったんです。

それでどうにか自分に病気を治せないか、そういう女性たち皆を守ることはできないかなと、小さい頃から考えていました。

そうすると段々成長していって、やっぱり自分は医者になって何かをやりたい、ということを考えていきました。

その中で大学受験を経て、なんとか医者という道を選ぶことができました。

研修医として働いているうちに、自分としては人の死というものを受け容れなければいけない。

ある程度努力をして治療をしていっても、がんというものは人の命を奪ってしまうので、それを何とかできないか、早くがんを見つけてあげたいし、けれども、もしがんが進んだ状態で見つかったとしても最後までサポートできるような体制を作っていきたいと考えました。

そういう状況の中では患者さんたちはたくさん涙を流したりしながら自分の病気を受け容れていく。

病院は病気だけを診るのではなくて、患者さん、その人自身を診るんだということを一般的には言われていますが、なかなか現実としては難しい。

皆、忙しそうにしているし、ゆっくり話す時間もないということで、どうしたら患者さん自身が自分の人生を受け容れることができるかなということをいろいろ考えるようになり、それが自分のライフワークのようになっています。

乳がんの原因は何ですか?私はどうしてなったんですか?

と質問をされる方もいらっしゃいます。

わずか5%の方は遺伝性の乳がんであるということは分かっています。

女性ホルモンが関係しているということも分かっていますけれども、では同じように皆さん女性として生まれ育っていて、何で乳がんになる人がいるのか。

今はさまざまな研究がされていますが、答えは出ていません。

乳がんが遺伝するかどうか、という話ですが、遺伝性の乳がんというのは約5%前後ですので、しかもお母さんが乳がんの遺伝子を持っていたとして約半数しか受け継がれないため、遺伝性の乳がんというのは非常に少ないです。

ですから、私は家系として乳がんはいないから大丈夫、ということでもないです。

また、二十代の乳がんの方というのはまれですけれどもいらっしゃいます。

特に遺伝性の乳がんという方は二十代でも起こりえるので、お母様が乳がんとか、ご兄弟が乳がんという方は二十代だとしても乳がんの検診を受けなければいけない。

二十代で実際に乳がんになる方というのはどのくらいいるかというと、0.1%くらい、乳がんの患者さん全体の0.1%くらいということで少ないですけれども0ではないです。

がん遺伝子、とよく言われますけれども、がんに感染した遺伝子というのは約40種類くらいあって、それぞれがん遺伝子というものとがん抑制遺伝子というものがあります。

がん遺伝子というものは、勝手にドンドン増殖していく、何かウィルスというようなものやがん性の発がん物質というものがDNAに入ってくると、そこで勝手な増殖を始めてしまうという、アクセル全開の状態になるのががん遺伝子です。

がん抑制遺伝子というのはブレーキの働きをするもので、本来はがんを抑えていく遺伝子なのですが、ブレーキが壊れてしまうと、がんの加速がついてしまう。

それぞれの遺伝子の働きというものを理解しなければいけません。それからおばあちゃんはがんにならないかというと、やはり八十代、九十代でも発病される方もいます。