末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

知識の習得

知識の習得ということですが、やはり乳がんに対して言うと、知識不足によって命が短くなることもあるということで、貪欲に勉強して欲しいと思っています。

たとえば乳がんの0期は、健康診断でしか見つからない、しこりとしてまだ触れないという段階で見つかれば、10年後の生存率は100%近いんです。

2センチまでで見つかるⅠ期というのでも、89.1%の10年後の生存率。2~5センチのⅡ期は78%。

転移があったりすると、10年生存率は25%と言いますけれども、これは1990年に治療を開始した人を対象とした2004年のデータです。

その後、20年くらい経過していますので、新しい治療方法も出てきていますし、更にこの生存率はあがってきています。

自分がしこりを感じました、という時、それが2センチ以下であれば十分に直せる。

そこで怖くて一年とか二年、病院に行けないという方が絶対にいるんですね。世の中には。

結局いえなくてドンドンドンドン大きくなってしまって、進行していってしまう。

早期発見すれば乳がんは治りますよ、という知識を知らないだけで命を縮めてしまう。

ということで、こういう知識を皆さんも広めていっていただきたいなと思います。

乳がん検診の目的というのは、しこりとして触れる前に乳がんを見つけて治療する。

自己検診で自分で触ってチェックすれば大丈夫、というネット上の情報もありますが、見つかったときには2センチ以上だったりします。

ですから、自分で見つける前に検診で見つけてもらおうという知識、これは知っておいて頂きたいです。

これは男性でも女性でも可能で、超音波検査、マンモグラフィを使って検診をしていく。

では乳がんになりました、という方は手術すれば治るのかという話ですが、ステージⅠという2センチ以下のしこりで見つかった方でも、術後5年の再発率というのは10%くらいあります。

Ⅱ期、2~5センチでも15%、Ⅲ期それなりの大きさですけれども、30~50%の方が術後五年で再発してしまうということも知識として覚えておいていただきたいです。

そうすると、がんの性格を調べて再発予防が大事だということが分かると思います。でも怖がる必要は無いです。

これが再発したら次の治療、またこれで効き目が落ちたら次の治療とやっていけます。。

手術を受けたら私はもう治療を受けません、という方も世の中にはいらっしゃいますので、こういう情報はお伝えいただきたいと思います。

後は年齢ですね。

若いと進行は早いとか、おばあちゃんだとゆっくりとかいうのも誤解なのです。

人の性格がいろいろあるように乳がんにもいろんな性格があります。その性格によってスピードが違うだけなんです。

グレードというのは顕微鏡でみるのですが、グレードⅠというのは穏やかな性格、サブタイプは抗がん剤の感受性とかですね。

感受性が高い、抗がん剤がよく効くタイプだと進行は遅い。グレードが高い、グレードⅢというのは精度が高い、ホルモン治療も効かない、抗がん剤も効かないとなると進行が早い。

ということで年齢とがんのスピードは関係ないんだと、こういう一番誤解が多いところに特に重点を置いて今日はお話していきます。