末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

がんを受け容れるための5段階とは?

乳がんの告知を受けると頭の中が真っ白になります。

私がどんなにいろんなお話をしても、もやがかかって何も耳に入ってこないです。

自分はどうしよう、何で毎年検診を受けているのに、という方もいらっしゃいますし、検診を受けておけばよかったとか、思うかもしれません。

食生活が悪かったのだろうかとか、遺伝子とか、誰かを責めたくなってしまう。

でも誰も責められない、自分が悪いのかと、自分に攻撃がいってしまう。

家族にもなかなかいえなくて、告知されて、ご家族にいえなくてという方もいらっしゃるのですが、そういう時に、やはり病気をどうやって受け容れるか、乳がんというものをどうやって受け容れるかというのは、皆が超えていかなければいけないハードルだと思います。

元気がなくなって当然だとか、逃げ出す必要もないよ、ということを分かっておいていただきたいです。

女性たち全員に伝えておかないと、治せる乳がんが治せなくなってしまう。

がんを受け容れると簡単に言いますけれども、そう簡単ではありません。

人によってはそのままうつ状態に入って言ってしまう場合もあります。

よく、5段階あるといわれています。

キュブラーロスという人が、古典的なのですが、否認・怒り・取引・うつ・受容とありますけれども、最初はうそだと思います。

あなたは乳がんですといわれても、うそだ、やぶ医者めと思う方はいらっしゃいます。

そのままやぶ医者めと言いながら、どこかに行ってしまう人もいます。

受け容れられなくて、否認して、怒りですね。

また何か取った検査を間違えたんじゃないか、何回も確認をしてくださいとか、本当に検査が正しかったかどうかとか。自分で他の病院に行ってしまって、もう一回検査を行ったりなど。

たとえば、手術が必要ですというお話をした時に、手術をしなくても良い病院に行ってしまったり。

そういう否認・怒りというものを、そこでうろうろしてしまう方もいらっしゃる。

それをちゃんと超えていくと、今度は取引ですね。どうしたら自分は直るんだろう、と。

健康食品で直そうという取引、じゃあ、今からご飯を食べるのをやめれば直るんじゃないかとか、自分の中で取引を始めます。

その様ないろんなステップを踏んだ後に、今度はうつ状態に入ってしまいます。

大体二週間以内に、こういう心の動きがあります。心が揺れ動いて、二週間たつころには、まあ、頑張ろうかなという気持ちになれる方が多いのですが、そのまま、二週間の間、誰にも相談できないとか、更に悪い情報をインターネット上で仕入れたりすると、これが長引いていってしまって、なかなか受け容れができなくなってしまう。

そうするとうつ状態になってしまうのですが、動揺して当たり前という風に、何か衝撃的なことがあったらみんな動揺してしまうので、それはしょうがないと自分の中で客観的に見る自分というのを登場させて判断していくしかないかなと思います。

そういう不安定な段階から適応する段階まで、大体二週間くらいのうちに、二週間時間がかかるのですが、その二週間の間にたとえば、何回も相談に乗れる人がいるとか、新しい良い情報を仕入れられたとか、そういう救いの手が差し伸べられればスムーズに安定段階に入って行きます。

そういう中で、私はブログとかいろんな形でその二週間をとても大事にしていて、その二週間、今日、病気のことをお伝えしました、などの後に、たとえばブログとかメールマガジンとかいろいろな形で、手術をした方とかに向けてメッセージを送ったりしていると、それをたまたま見たりした方が、明るい気持ちになれたらいいなとか、一人じゃないって分かっていただけたらいいなと思って、ブログとか毎日欠かさずに約五年間続けています。

実は乳がんといわれて、大体それから一年くらいの間に、30~40%の方が適応障害とかうつ病とか言われています。

これはもう仕方がないと思います。何らかの形で心配事を持ってしまう。再発をしました、という方の40~50%がうつ病であるということも言われています。

乳がんと上手に戦いましょう、戦うという言葉が適切かどうか難しいのですが、お子様がいらっしゃる場合は、お子様がすごく心の支えになる場合もありますので、お子様と一緒に病気を受け止めて欲しいです。

事実をどこまでご家族に伝えるかとか。ご本人がやはりいっぱい勉強される場合が多いので、ご本人が勉強して、乳がんについて深く知って、ご本人からご家族にお話をされる場合もありますし、ご家族を連れていらっしゃれば、病院で私たちからお伝えする場合もあります。

ありのままにお子様に全てをですね。何歳から伝えていいのですかとか、難しい問題ですけれども、実際に小学生くらいのお子様といらっしゃって一緒にお話を聞いてくださる方が最近は増えています。

それが良し悪し、いろんなご意見があるかもしれませんが、お母さんを心配している男の子とか、女の子とか一緒にお話を聞いて、どんな先生に治療を受けているのかとか、どういう状態なのかとか肌で感じてもらうと、それが全くお母さんは病気だということだけ考えていると、お子さんが登校拒否になってしまってしまう方とか、心配しすぎてご飯も食べられなくなってしまうお子さんとかいらっしゃるので、逆にありのままを伝えたほうがいいのではないかと考えています。

主治医の先生と良い関係が築けていれば、いろいろなそういう家族に対する配慮とかもしてくれます。

実は乳がんというのは再発をしてもどれくらいの命とか断言できないんです。

いろんな治療が今開発さえていて、どんどん寿命が延びているし、治療方法とかも開発されていますので、寿命は誰にも分からないので、あまり悲しい思いをしないで欲しいなと思います。