末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

質問のコツ

今日も質問コーナーというものがあるのですが、何の為に質問をするのでしょう。

いろいろなセミナーに私は出ていますが、なかなか質問がある人と言っても手が挙がらないですね。

なぜかというと、そこは恥ずかしさや、自分の無知をさらけ出してしまうという恐怖感があるからです。

恐怖感があるといろんな行動が起こせなくなってしまう。

その恐怖感というのはなぜ出てくるかというとやはり自己愛からなんですね。

自分を大切にしすぎてしまう。自分を大切にするから陰に隠れていよう、目立たないようにしようとしてしまう。

何か使命感を持って、誰かの疑問を晴らす為に質問をすると考えてください。

私はいろんなセミナーに出ていますが、本当に興味があって参加したセミナーは「質問がありますか?」といわれた瞬間に手を上げるようにしています。すごく恥ずかしいのですが、使命感があるから手を上げるという行動に移せる。

事前に質問すると決断していて、そこで一番に質問しようと決意を持ってセミナーに参加しています。

何の為に質問をするかというと、疑問を解決するというのは当然なのですが、皆に自分の生き方をアピールする為もあります。

自分はこのように考えていますが、先生はどう思われますか?という形で、会場の注目を浴びるというのも1つの理由なんです。

それによって皆の意識改革をして、「じゃあ、自分も手を上げよう」とみんなが意識するけれど、延々と自分のことを話す先生や、延々と自分のアピールのみ、というような方もいます。

たとえば外科医だと「自分はこういう手術をしている、自分はこんなに業績がある。それに比べてこの発表は何だ」というように、相手をこてんぱんにやっつけるような質問をする方もいらっしゃるんですが、それはただの自己満足で本来の質問の目的ではないです。

距離を縮めていく作用というものが質問にはありますので、その先生と距離を縮めたいというときにはドンドン質問をして交流を深めていくということが大切です。

では何を質問すれば良いか、ということですが。

たとえばその先生どういう業績があるかとか、その先生の話の中で自分が知りたい興味のあるところとか。場合によってはその先生の生き方、やっていることに対する質問でもいいです。

批判や攻撃は交流にならない。

こういうセミナーに参加している仲間たちもそうですが、先生たちとの交流というのはセミナーのとても大切なところです。

普段、休みの日なにをしているんですか、というようなプライバシーにかかる質問ではなくて、お互いのプライバシーに配慮しながら、公の――どういうところを皆に伝えて行きたいか、私はこういう風に考えているんですが、先生はどうですか、とか。

そういうのがコミュニケーションのコツかなと思います。

これがNLPということは私は知らなかったんですが、私は診察室で結構猫背になるんです。

猫背気味で診察をしているな、なんでだろうな、と思っていたら、おばあさまが座ったときにすごく小さいんですよね。

それで自分は目の位置を調節しているのかな?と感じたんです。

診察室でお話をしていると、その方の目線に自分が合わせているような気がします。それで知らないうちに皆さんが笑顔になってくださったり。

覗き込みすぎというのがあるかもしれませんが、他の先生方より自分は距離が近いような気がします。

それで皆さんとの距離が近づければいいな、と思っています。

ペーシングも、知らずにやってきましたが、うつむきながらそうっと入ってくる患者さんの時には、私もそうっとうつむきながらどうしました?(小声)という感じで言っています。

元気に入ってくる方は、ああ、元気?という感じで。知らないうちにそういう波長が合っているというか。

静かに話し始めた方がお話を聞いている内に自然と段々元気になっていく。

すると私も少し「じゃあ、お話をしましょうか?」と、段々温度を上げていくような仕方をしているんだと最近気づきました。

気に入られようとではなく、自然に相手のペースや気持ち、声のトーンに合わせていると、相手の方の気持ちが分かってくるような気はします。