末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

乳がんが再発しても大丈夫な理由

乳がんが再発する方というのはいらっしゃいますが、そういう時にどういう風に治療していくか、ということです。

遣り残したことがあるのにとか、何とか直せる治療は無いかな等、ということでいろいろ試行錯誤して高額な治療に入っていってしまう。

一番大事なことは、再発治療ということは。もちろん延命です。

延命という言葉は嫌ですが、病気と付き合っていく。

極端な話ですが、高血圧や糖尿病というのは放置をすると、たとえば脳血管が破裂をしたりとか、大動脈が破裂したり等して、これはがんより怖いです。

破裂して突然死してしまうのです。糖尿病というのも放置するとやはり指先が腐っていってしまう、感覚が無くなっていってしまうなど、怖い病気で、病気をきちんとコントロールしていかないと命を奪われてしまう。

延命と言っても病気と上手く付き合っていくということです。

QOLの改善、症状の予防ということで、たとえば骨の痛みがあるというときでも適切な薬や治療をして笑顔で歩いて生活できるようにする。

再発した治療が無いのか、再発したらもう終わりだよと、冷たい先生もいますが、そんなことはありません。

遠隔転移、いろんなところに転移しても、ホルモン治療とか分子標的治療とか抗がん剤治療というのを、ずっと取り替えて取り替えてという感じで繰り返していくということで、決して終わりではありません。

続々と新薬というものは登場します。乳がんに保険適用のある薬剤というものがあり、20数種類、日本で乳がんに対して適用がある。

2010年以降も次々と薬は開発されて認可されています。

がんを消すということを目標にするのではなくて、乳がんと上手に付き合っていく。乳がんをコントロールする。そのためには痛みをとってあげる。

痛みをとるために、たとえば骨の転移に対して抗がん剤治療とかホルモン療法とかいろいろ手段はあるのですが、適切に行うと、少なくとも24ヶ月以上、骨に転移がありますよと言っても2年以上にわたって、歩いたりしながら矯正していきます。

がんと共に生きていくということは可能です。それがゾレドロン酸水和物注射液というものを使うと、これは何も薬を使わないで行くと痛みが増していくというものが、そのゾレドというものを使うと痛みが緩和されていくということですばらしいお薬だと思います。

このように私たちはいろんな手段で再発した方の治療をしていっています。

質問のトップ10で一番多いのはマンモグラフィーのカテゴリー3とか、石灰化って何?再発が不安です、針正検が不安です、ホルモン治療って危険なの?というような質問がたくさんあります。

抗がん剤の副作用とか、主治医が忙しくて相談に乗ってくれませんとか、お勧めの病院とか先生は誰ですか?とか、乳がんになったら子供が産めなくなる、そんなことは無いのですが、きちんと治療をして、治療終了後に赤ちゃんに恵まれる方もきちんといらっしゃいます。

手術しないと直るかというと、それは手術したほうが望ましいと先ほど申し上げました。

ということで、人生における悲しみの受け容れ方ということですが、私たちドクターにできることは非常に限られているので、何とか皆で、このような場でお互いにいろんな話をしながら、お互いに仲良くなって、相談に乗れるような環境づくりというものをしていって欲しいな、という風に考えています。

やはり仲間を作っていくというのはとても大事で、困ったときに先生だけではなくて、仲間たちに相談していくというのはとても大事なことだなと思います。