末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

抗がん剤はやめたほうが良い?

抗がん剤なんかやめた方が良いよ、という本もあって、それは免疫力が落ちるからということですが、やはり免疫力が一時的に落ちる場合があります。それは抗がん剤の投与中に限ったことで、その後は復活しますので、けして恐れることではないです。

治療は医者に任せておけばよいかというと、それは大きな間違いで、全て先生にお任せしますという患者さんは、意外に多いのですが、そういう方は、後で期待を裏切られるととても怒ります。「先生を信じていたのに」と、急に怒り出すということが多いので、私たちにすべてを任せないで下さいといつも言っています。

難しいことなのですが、昔の先生たちは私に任せなさいと言えたのですが、最近は、全てをお話して、いろんな危険性とかをお話した上で、じゃあ一緒に頑張ろうね、ということになったら、じゃあ任せてくださいといいますが、最初から全部任せておけば良いんだという医者は、いないと思います。

自分たちで考えなければいけないので、気軽に相談できる医者が一人でもいたら良いかな、と思ってブログなどを始めました。気軽に相談してくださいといっていますが、やはりお会いしていない方の具体的な治療方法は難しいので、最終的には、主治医の先生とどうやってお付き合いをしていったら良いのか、というアドバイスが多くなっていきます。

私達の病院では、主治医がいて、病院スタッフがいて、外科のチームがいて、緩和ケアチーム、それ以外にブログなどを使っての、アイティコンサルティングシステムということで、患者さんとご家族を全員でくるんでいくというサポートがいいと思ってやっています。

乳がんは婦人科で見てもらうかどうかということですが、皆さん、ご存知だと思うのですが。婦人科の先生ですと、子宮とか卵巣が中心ですので、乳がん検診は乳腺外来で受けて欲しいなと思います。もちろん一緒にやってらっしゃる方もいらっしゃいます。

私は乳がんにならないから大丈夫というご意見もよく聞こえてきますが、やはり女性の乳がんにかかる率というのは1位です。2005年1年間で乳がん罹患数というのは五万人となっています。

正しい医学知識をどうやって入手すればいいのかというのは、これもとても難しいですが、あらゆる情報が氾濫しているため、主治医の先生もどれくらい勉強しているか分からないというのが正直なところです。

この間患者さんから聞いたお話ですが、お友達が乳がんと診断されて、主治医の先生といろいろがんの治療をどうしたらいいか相談している中で、インターネットで見た民間療法というものを「こういう治療があるんですが、どうですか?」と、主治医の先生に聞いた瞬間に、急に態度が変わって、じゃあ、そっちに行けば良いじゃない、という反応で。以後は、外来診療はもう終了、電子カルテ閉じて、はい、じゃあもう行って下さいという感じで、追い出されるような感じで出てきたと。

それをきっかけにその友達は医療不信に陥ってしまって、もう病院に行きたくないということで、暖かくいろいろ話を聞いてくださる代替療法の先生のところに行って、結局病気を乗り越えることができずに亡くなってしまったんです。

本来は、もしやるとしても同時併用という形で標準的な世界的に認められている、推奨されている治療というものを一番に考えながら、他のやりたい治療を併用していくというのが一番理想なのではないかな、と思います。

海外ではそういう代替療法というのはとても大切にしています。それだけではなくて、やはり標準的な治療をしながら、プラスアルファでいろいろなセラピストの方が共同して患者さんを支えていくということが大切だと思っています。そのためにはお話を聞いてくださる主治医の先生といい関係を作っていくというのが、正しい医学知識の入手法だと思います。