末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

抗がん剤・放射線治療を受けている人の食事のポイント

抗がん剤・放射線治療を受けていると、様々な副作用が起きてきます。なかでも食事に関する副作用は、症状の重さや種類に個人差が大きいものです。

抗がん剤が投与されている場合、休薬期であっても、健康な状態であった時と全く同じ食欲に戻る患者さんはほとんどなく、副作用が軽くなる程度ということを知っておきましょう。このため、その時々に応じた対応が重要になってきます。治療中は食事が楽しみになることがある反面、逆に、「食べなければならない」と精神的なプレッシャーになることもあります。

本人も、見守る家族・友人も、「出来るだけ食べたい」「なんとか食べて欲しい」と焦る気持ちや、「食べることが出来なかった」と落ち込む気持ちもあります。しかも、本人の努力や家族の励ましや工夫だけでは、限界があります。

まずは、「いま食事で悩んでいることは何か」ということをまとめ、主治医や管理栄養士、看護師などに相談することです。食事に関して不快な症状がでたら、ガマンせずにすぐに連絡をとります。すると、医師が副作用を改善するように対応してくれます。

副作用の症状によって食事が苦しくあっても、主治医によって、くちからの食事が可能と判断された場合は、食事を食べるようにします。これは、少量であっても食べ物を食べている患者さんのほうが、より元気で長命という傾向があるからです。食事の食べやすさや、症状別に対応したメニューについては、管理栄養士から工夫や改善のアドバイスを受けることができます。

最も気をつけたいのが水分不足です。吐き気や下痢などの副作用で起こしやすいので、水分不足からの脱水症状を起こさないように、ご本人や家族も注意が必要となります。ひとの身体の60%は水分で占めていて、生きていく上で重要な成分です。食事ごとやその間に、こまめに水分を飲むことが重要です。

水分は、コップに入れて一気に飲むのではなく、おちょこ1杯程度を、回数を多くして飲みます。「のどが渇いたな」、と感じる前に飲んでおくことが重要なので、食事ではお茶類のほかに、さらっとしたスープや薄めの味噌汁などを用意しておくと良いでしょう。