末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

消化を良くする工夫

食事の消化を良くするポイントは、「柔らかくなるまで煮込む」「小さく(薄く)カットする」「しっかり良くかむ」ことです。消化の良い食べ物の代表格であるおかゆは、ご飯(あるいは米)を柔らかく煮込んでいますが、同様に野菜や卵、魚や肉も「柔らかく加熱する」「柔らかい部位を選ぶ」ことが重要です。

卵は半熟程度が最も消化が良い状態ですが、白血球が減少しているときは、必ず完全に火を通してください。刺身も同様に消化が良い食品ですが、白血球が減少しているときは、刺身用の魚をお湯でくぐらせて完全に火を通すようにしてください。肉は完全に火が通ると固くなりがちなのと、持ち合わせる脂肪分に消化を悪くさせる作用があります。ささみ程度にしておきましょう。

野菜類は、一口大のサイコロ状や薄切りにするのがおすすめです。根菜類、海草、きのこ類、乾物は、食物繊維が多いために消化が悪い食品です。これらは斜め薄切りにして繊維を断ちきるようにすると消化しやすくなりますが、消化が良い食事が必要な時期には控えておいたほうが良い食品です。ただし、きのこ類からは出汁がでるので、食事の美味しさがアップします。調理の時には使用し、食べる時には外す(残す)、というようにしてみても良いでしょう。

注意したいのは、もともとが柔らかい食品を食べる時です。豆腐やヨーグルトなどは、柔らかくて消化も良いものですが、その柔らかさゆえに、食べる側が良くかまずに食べてしまい、逆に消化が中途半端になってしまいます。柔らかいからと過信せずに、意識して噛むようにして食べ、口の中に唾液がしっかりと出るようにして食べましょう。

唾液は、噛んだりするときの潤滑剤として役立ちます。また、唾液と食べ物が口中で絡み合うことで、食べ物が柔らかくなっていきます。唾液には消化酵素であるアミラーゼが含まれ、主に炭水化物の消化吸収をしやすくします。このほか、噛むことによって、その刺激が脳に伝わり、全身の消化吸収に関わる酵素類の分泌を促し、胃腸などの負担を軽くするのです。