末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

お見舞いに持って行く食品

「こういったものが食べたい」とリクエストがあれば、それに応じることが何よりです。しかし、聞いても「特にない」「食欲がないから」と、

差し入れをしたくても歯がゆい思いをしてしまうことがしばしばあります。

まず、入院中と自宅では、備え付けてある冷蔵庫に「冷凍庫があるかどうか」の違いがあります。治療中で食欲が落ちているときでもアイスクリームやシャーベットなどは食べやすくて喜ばれますが、入院していると冷凍庫がないので、「その場で早く食べないと溶けてしまう」、ということが起きます。これは、患者さんによっては、「今すぐは食べられない」体調であった場合、「折角の厚意を無駄にしてしまった」と精神的に落ち込ませてしまう結果になってしまいます。

がん治療のために入院をするような病院は、大規模病院であることがほとんどなので、院内売店があります。

顔を合わせて本人と話をして、食べられそうなものを確認してから買いに行くのが良いでしょう。

また、少ししか食べることができないこともあるので、「残っても気にしないで」と声をかけることを忘れないようにしましょう。

果物は食べやすい食品なうえ季節感を感じてもらいやすく、気持ちを明るくさせる効果があります。しかし、「見て嬉しい」だけで「実際に食べるのは苦しい」という患者さんも大勢います。

その場で食べることをすすめることはせず、冷蔵庫に入れておくことをすすめるようにしましょう。

「食べられそうな時に、あとで食べて下さい」とすることで、患者さんの気持ちの負担が楽になります。果物の缶詰も日持ちが良いので、無難です。

食事で体力をつけなければいけないけれど、食欲がわかない、というように考えている患者さんには「ポン酢」を持って行くと喜ばれます。

ポン酢をかけると食べやすくなると感じている患者さんが多くいますが、自分で買いに行くのが難しい状態なことがほとんどです。市販のポン酢は味にバラエティーがあるので、いくつかの種類をもっていき、「口にあうものを使ってください」とビンを置いておきましょう。これも開栓しなければ常温保存ができるので、受け取ったほうも気が楽になります。

ほかに、

常温で水分(水やお茶、スポーツドリンク)に溶かしてゼリー状に固められる寒天、常温で振りかけて混ぜるだけであんかけになる片栗粉も重宝されます。

前者は介護食品、後者はベビー食品の大きめの売り場やインターネットの通信販売で購入することができます。こういった寒天や片栗粉を知らない患者さんもいれば、積極的に活用されている人もいます。水分をとろうとしてもむせてしまいがちな人には、ゼリー状にすると「水分を食べて補給」することが出来、しかも常温で固めることが出来るので便利です。

紹介したお見舞い品類は廉価なものばかりです。そのほうが受け取った側の精神的負担が小さくて済みます。

本人の体調を確認してから「顔を出す」「雑談をしにいく」ような気持ちでお見舞いにいくのが良いでしょう。