こういう不安なことを相談できるシステムをいっぱい作っていきたいと思っています。
このプロジェクトを通して、私を窓口としていろんな先生たちに橋渡しをしていくというのが私の夢です。
賛同してくださる先生たちをドンドン見つけていって、全国に発信して。
全国であそこに住んでいるんですがと言ったら、関西ではあの先生がいいよ、という、そういうネットワーク作りが出来たらいいなと思っています。
サポート体制ですが、患者さんとご家族を取り囲んで、主治医や病院スタッフや緩和ケアチーム等、チームがいろいろありますが、その中に24時間相談ができる、ITコンサルティングシステムがいろんな病院にあるといいなと思っています。
私達の病院では実際にこういう形でやっています。
軽自動車で――私が運転しているわけではないですが、動けない方には病院での治療や外来だけでは足りないということで、往診のクリニックと連携して実際におうちまで行って診察をしています。
そういう言葉だけで支えていますよ、ではなくて、実際にやっていくことが必要と思っています。
乳がんには性格があって、その性格分析というのがとても大事なのですが、基本的に乳がんは全身病ということをいつもお伝えしています。
たとえば、何センチくらいになると転移するかという問題がありますが、10センチ以上で転移すると思う方、手を挙げてみてください。
5センチ以上で転移すると思われる方、3センチ以上で、1センチ以上で、1センチ未満で。
1センチ未満で二人ですね。
3ミリで乳がんは転移を始めるといわれています。
3ミリなんて触ったって分からないよと思いますよね。わからないです。
気づくのは大体2センチくらい、運の良い方は1センチでも気づきますが、3ミリくらいで転移を起こすという研究がされていますから全身病と考えなければならない。
全身病というのは要するに全身に病気が飛んでしまう可能性があるので、早く見つけなければならないということなんです。
手術しなくていいかどうかですが、乳がんは手術で元を取って、どういうやつなのかを分析するということが大事なんです。
手術しなくていい、消しちゃえばいい、焼き切ってしまえば良いと、焼いてしまう治療もあるのですが、これは相手の正体がわからないままやっつけてしまう。
そうすると、意外な形で5年と10年後に再発してくるということが最近報告されています。
5年前10年前には焼いて、切らない治療というのはブームになったのですが、5年10年たっていろんなところに転移が始まってしまって、あれはまずかったというのを今反省している段階なんです。
ですから、切らないでというのは今はまだ危険だと思います。そういう風に知らないうちに転移が起きているということは画像には捉えられないんです。
術前、術後の治療、要するに手術だけではなくて、相手の正体を突き止め、それで再発を防ぐ。
今お話したように3ミリのものは全身に流れてしまうということは、手術をしても流れているかもしれないと受け止めなければいけない。
それで飲み薬や点滴の治療が必要だということです。何も治療しないと進行して再発してしまう。10年、20年後も元気という事を一番の目標として設定しなければいけないと思います。
乳がんの分類ですが、今年、乳がんには実は10種類のタイプがあるということが発見されました。
ここに5種類しか書いてないですが、これは今分かっている5種類なんです。
それぞれの10個はまったく別物だと考えています。
ですから、私乳がんよといろんな方がおっしゃってても、皆治療が違うんです。
お互いに患者さん同士で「あなた、その治療やらなくていいの」とか、「私はやったわよ」というような話になってしまうのですが、実際にはその方にはその治療は必要ないということはありえることなので、患者さん同士の会話で焦る必要は無いです。
私は別の病気と思って、主治医の先生の話をよく聞いて、治療していくことが大事です。
ガイドラインとよく聞かれると思います。
ガイドラインって何それと思うかもしれませんが、これはどのように治療していけばいいかという指標というか目安ですね。
これは12年の経過ですが、カナダで1541人に対して、あなたはハチャメチャな治療をしましょうとか、あなたは決まりに従ってやっていきましょうとやった結果、やはりガイドラインに基づいて治療した方のほうが生存できているということが2004年に証明されたので、それからきちんとガイドラインはやったほうが良いよという風にしています。
これから外れてしまう治療は基本的にはやらないほうがいいということです。
先ほども言いましたが乳がんのタイプには5つのドアがあって、このタイプはここを入っていくとこういう治療がありますよ、というのがわかると受け止めてください。