末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

肉について

肉類は免疫機能を支えるタンパク質源として欠かせません。

鶏肉、豚肉、牛肉は効率の良い良質なタンパク質源です。

ただし、肉類は健康な人でも「鶏肉の皮がダメ」「牛肉はフィレぐらいしか食べられない」というように、

人によって好き嫌いが分かれるので、本人の希望をきちんと把握しておくことが必要です。

肉類には皮や脂肪分がつきものですが、調理のときは残しておくことがおすすめです。皮や脂肪分は、焼き縮みや、加熱によって肉が硬くなることを防いでくれ、料理には脂に含まれる肉類のうま味が溶け込みます。なので、

調理するときは、脂身や皮をつけたままにし、食べるときに外すようにすると、美味しく食べることができます。

WCRF/AICR(世界がん研究基金/国際がん研究機構)による、がん予防のガイドラインのなかに「赤肉(牛、豚、羊などの肉)を制限し、加工肉(ソーセージ、サラミ、ベーコン、ハムなど)を避ける」というものがありますが、これは、肉食の多い欧米人を考慮しているためであり、健康で平均的な日本人が食べる量では心配はありません。

また、国立がんセンターによる日本人向けのがん予防ガイドラインには、肉類に関する制限がありません。しかも、これらは「予防」であって、闘病中のことではありません。

闘病中に食べられる肉類の量は限られがちなので、むしろ積極的に食べてほしい食品です。

また、ベーコンやサラミ類は、闘病中は食べづらいので自然と食べなくなるものです。

肉食を避け、菜食をすすめるガンの食事療法が一部で提唱されていますが、全ての人のがんを治癒し、健康状態を良くする効果があるものは、ひとつとしてありません。

成功体験談は高らかに宣伝されますが、その影で、状態が悪化した場合は情報として表にでてきません。

闘病中は、副作用を乗り越える体力と気力が必要です。そのためにはタンパク質が必要です。

タンパク質は、衰えやすい筋肉を支え、貧血予防にも役立ちます。

なので、効率の良い良質なタンパク質源となる肉類は、とても良いものなのです。

肉類は、脂身の少ない赤身の部分が食べやすく、形状は薄切りがおすすめです。調理方法は、煮る、蒸す、ゆでるが良く、料理では、肉じゃがや、しゃぶしゃぶなどが当てはまります。逆に唐揚げなどの揚げ物、ハンバーグなどの挽肉料理は、脂肪が多く胃に負担がかかるので避けましょう。