末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

虚弱を防ぐ食事

抗がん剤や放射線治療を受けると、休薬期間であっても副作用で食欲不振に陥りがちです。また、心理的にも落ち込み傾向が出やすく、食べることに関心が薄くなりがちです。

すると、

食事から十分な栄養が得られずに体力が低下し、それがひどくなると虚弱状態になってしまいます。

元気に生きるためには一定量の筋肉が不可欠なのですが、それは加齢によって少しずつ減っていきます。また、闘病中は体を動かすことが辛く、新しく筋肉を作ることが難しくなってきます。その結果、運動機能(歩行など)の低下を起こしてしまいます。

すると、すぐに疲れる、自然に体重が減る、体の動かし方がゆっくりなる、という状態になるのです。

筋肉量の減少を防ぐには、本来は歩行やラジオ体操程度でも、毎日少しでも体を動かすことが有効ですが、それすら辛い状態が続いてしまっていることが多い場合は、食事で補います。

まず、筋肉の材料であるタンパク質をしっかりと補って筋肉づくりをサポートしていく必要があります。

慢性的なタンパク質不足は虚弱状態を招きやすくなります。虚弱を防ぐために1日にどの程度のタンパク質量をとれば良いかはハッキリとしていませんが、少し多めにするのが良いとされています。

副作用を起こしている時は、どうしても食べたいメニューがご飯など炭水化物に偏りがちです。そこで、卵入りのおじやや、鮭入りおにぎり、鶏肉(皮は外しても良い)入りうどん、ハムやチーズ、ツナの入ったサンドイッチなど、タンパク質源になる食品も一緒に食べることが有効です。

おかずとしては、卵や肉、魚、大豆や大豆製品(豆腐や厚揚げ、がんもどきなど)、枝豆などを食べるようにすすめて下さい。おやつにわらび餅を用意してきな粉をたっぷりかけるもの一工夫です。

タンパク質源になる食品が「あまり食べたくない」となっている場合は、虚弱の黄色信号といえます。研究の結果、

日本人は、タンパク質源の食品は「食べているから元気」ではなく、「元気だから食べる」という傾向があると推測されています。

ぜひ、食欲不振以外の副作用の状態を勘案しながら、「元気になるため」「治療を乗り越える体力をつくるため」と励まして、タンパク質源を食べるようにして下さい。