末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

果物について

年間を通して様々な食品が流通していますが、なかでも季節によって出回る種類や品種が異なるのが果物です。そのため、最も季節感を演出する食品であり、また、旬に出回る果物は栄養成分が豊富に含まれています。

果物は、抗がん剤や放射線治療で食欲が落ちたときに、とても食べやすい食品です。しかし、白血球が減少している時には、いちごやアメリカンチェリーなど、皮をむかずに食べる果実は、新鮮であっても、慎重に洗うか、もしくは避けておく注意が必要です。冷やした缶詰などは安心ですが、加工処理をしている段階で、果物類が持つ本来の栄養成分をかなり失っているので、生の果物のような健康効果は期待できません。

家庭で果物と野菜や牛乳を併せてジュースにしたものは、デザートとして食べやすく、栄養も摂りやすくなります。ただし、作る時に氷など水分を多めに入れると、むせたりすることがあるので、牛乳やヨーグルトなどを加えてとろみをつけ、しっかり「ごっくん」と飲み下してもらうのがコツです。

果物で期待できる健康効果のある成分の筆頭がビタミンC、次いで果糖です。ビタミンCには、抗がん作用、抗ウイルス作用、解毒作用などがあります。貧血予防にも活躍する栄養素なので、ぜひ取り入れたいものです。ビタミンCが多い果物は、オレンジやみかんのような柑橘類の果物で甘酸っぱい味のするもの、いちご、柿、キウイ、メロン、マンゴーなどがあります。ただし、グレープフルーツは、特定の医薬品を服用中は禁止食品になる場合があるので、避けておくのが無難です。

そのほかの果物類で甘く感じるものからは、果物特有の甘み成分である果糖が得やすくなります。果糖は体ですぐにエネルギー源になるので、食欲不振で体重が減少しているときにおすすめの成分です。熟した甘い果物ほど多く含まれています。

果物は、旬のものほどビタミン類やポリフェノール類、果糖が豊富であり、季節感を得やすいので、時期ごとにあれこれと食卓にのせるのがおすすめです。しかし、患者本人が季節外れの果物が食べたいと言い出すことがあります。これは、わがままではなく、「その果物を体が欲していて口にだしてしまう」という状態です。果物の種類によっては、高級果物店やインターネットの通信販売などで、時期がずれたものを入手することが出来ます。高価なわりに味はいまひとつ、という品質になりがちですが、経済的に許せる範囲であれば入手してみて下さい。