末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

がんに効くといわれている野菜ジュースやスープについて

にんじんやトマトなど、特定の野菜を主材料にしたジュースやスープでガンを克服できるとする内容や体験記が書籍やインターネット上で紹介されています。実践している人も少なくありません。

がんに関する食事療法は、医学的及び科学的には確立された内容や手法がありません。

ですので、これらのジュースやスープを集中的に食べることで症状が改善された方も大勢いらっしゃるかもしれません。しかし、

これらのジュースやスープ類だけでがんに対抗する食事が成り立っているかというと疑問が残ります。

というのも、

改善された場合は喜びが表舞台に紹介されますが、逆に不調になった場合は影に隠れてしまうからです。

体調が良くなった人は、こういった特定の食品を集中的に食べることを推奨する書籍や内容をほかの人にすすめ、指導者のもとに通い続けます。しかし、試してみて体調を崩してしまった人は、「合わなかった」という声を上げる気力がなくなってしまうほど体調を崩してしまうこともあり、何も言わずに指導者のもとを去って行きます。すると、改善されたという良い結果が得られた人の声ばかりが残るため、書籍や指導者のもとには高評価だけが集まってしまう、という現象が起きてしまいます。

がんの治療中は医薬品や放射線治療の影響で食欲が少なくなり、食べることが出来る食事量が減ってしまって必要な栄養を確保することが難しくなる場合がほとんどです。少ない食事量をいかに主食、主菜、副菜などに振り分けて食べることができるかで栄養のバランスが変わってきます。

使用材料のほとんどが特定の野菜が占めるジュースやスープ類は副菜にあたりますが、1日の食事量に対しての比率が多すぎると、特定の野菜を集中的に食べることになるので栄養に偏りがでてきます。

どんな野菜、食品でも多く含む成分とあまり含まれていない成分があります。このため、食べる食品の種類が多いほど、食品に含まれる栄養成分を補完しあえるので、バランスが良くなり体力がついてきます。

これらのジュースや野菜スープ類には医学的に効果が証明されているわけではありません。Aさんにとっては体調を良くするものであっても、Bさんにとっては負担になってしまう場合もあります。

家族や友人のかたは無理にすすめないようにしましょう。